2026/10/1UP


AI文体

 生成AIが普及し始めた数年前は、人間が書いた文章かどうか判別することは比較的容易でした。太字表記のために語句を*(アスタリスク)で挟むマークダウン記法や箇条書きといった特有の表現がありました。  近頃はそうしたあからさまな文章は少なくなったものの、二項対比の多用、過剰に大げさな比喩、一般論的で具体性に欠ける論調など、AIっぽい文体が台頭しています。  この夏、あちらこちらで見掛けた夏祭りや店頭のポスターでもAIで制作したとおぼしきイラストが、かつて隆盛を極めた「いらすとや」に取って代わっていたのですから、文章も例外ではないでしょう。  しかし、最近アドバイスを頼まれた読書感想文が前述のような文体でした。書いているのをその場で見たので大変に驚き、その後、市内の小学校に行った際には廊下の壁に貼られた昔ながらの作文を見て安心しました。「AIネイティブ」の世代がさまざまな媒体で発信を始めるであろう10年後には、AI文体が主流になっているかもしれません。ギルガメシュ叙事詩や科挙に用いられた八股文も現代人にはとっつきにくいことを考えると、「文も世につれ」となるのはとどめがたいことです。  新聞の文体も考えてみれば特殊なものです。文章全体を5W1Hで要約する「リード」を先頭に配して、重要な情報を段落ごとにつなげていく逆三角形の構成は「あんふぃに」読者の皆さんにはおなじみのものでしょう。見出しとリードくらいなら慌ただしい朝でも読めるという読者側のニーズと、載せられるニュースには限りがあるという紙幅の都合から生まれたとされています。  「〇〇の問題で」といきなり始まる記事も、新聞を読む習慣を前提としたもので、弊紙も現在注力する「河北新報オンライン」はそうした制約がないのだから、そのうち文体も変わることでしょう。記事を読むのも人ではなくAIになるなら、AIに最適化された文章を書くべきなのか?でも私用の手紙すら「新聞用字用語集」通りに書く人間には難しそうです。