2026/9/1UP


一水四見

 <手を打てば/鳥は飛び立つ/魚寄る/女中茶を持つ/猿沢の池>。同じ音でも、受け手の心一つで意味は異なります。  四半世紀前なら、8月に扇風機いらずの天気が続けば、「冷夏」「日照不足」といった陰気な見出しが紙面を飾ったでしょう。ところが、ここ数年の酷暑を経験すると、やませも「天然のクーラー」として歓迎されます。「ポケモン天文台」会場のかくだ田園ホール前で列をつくる観光客にとっても、涼しい方がありがたいに違いありません。  開幕1カ月を待たず3万人を集めた盛況の一因になったとは言い過ぎかもしれませんが、少なくとも待ち時間の負担は軽くしたはずです。来場者に聞くと「思いがけず涼しいので、田んぼアートや宇宙航空研究開発機構(JAXA)角田宇宙センターまで足を延ばす」という人も一定数いました。  会場だけでなく、市内を巡ってもらう工夫まで経験として残せれば、次に大きな話が舞い込んだ時にも生きるはずです。 楽天2軍拠点の誘致を巡り、6月末に県内外の「20自治体がラブコール」という記事があったのを覚えているでしょうか。誘致が実現すれば、経済的にも好循環が発生しそうです。  「野球場近くにプールがあるのは、選手のリハビリにも役立つ」という話も聞きました。毎週、仕事の合間に一泳ぎして気分転換する身としては、楽天が投資して、より広く改修してくれたらと勝手な夢を見ています。 夢の話をもう一つ。約60年前の本紙記事には「わが国待望の人工衛星誕生に一役」「市発展の足がかりにしたいと全市あげて協力体制」とあります。航空宇宙技術研究所(現JAXA)の誘致に、角田の人たちがまちの将来を重ねていた時代です。  60年前には研究所、今はポケモン、そして次は楽天かもしれません。やませでさえ、時代が変われば「天然のクーラー」になります。同じまちにも、見る人と時代によって別の値打ちが生まれるのでしょう。さて、角田にはまだ、見方一つで化けるものが眠っていないでしょうか。次は、そこを探してみたいと思います。