2006/10/01UP


再 会

 ◆…学生時代の友人の結婚式に出席した。大学を卒業したのが約10年前。それ以来会っていなかった懐かしい顔もあり、大いに旧交を温めたのだが、驚いたことが二つあった。一つは転職の多さ。「あいつはどこどこに移った」「そうえいばあいつは二つぐらい会社を変わったはず」。そんなうわさ話が飛び交う。挙式した友人自身も、卒業以来勤めた銀行を辞めて、独立したのだという。◆…もう一つは、自宅を購入した友人が何人かいたことだ。30歳を少し超えたばかりなのに、である。おそるおそる値段を聞いてみると、それが「ン千万円」の上の方だったりして、もっと驚かされた。 本人の給料、貯蓄額、はては親の資産まで、事情はそれぞれ違うとはいえ、「おいおい、大丈夫なの?」と突っ込まずにいられなかった。彼らが購入を決めた理由は、「いずれ値段があがるから」ということらしい。◆…先日公表された基準地価によると、東京、大阪、名古屋の大都市圏では、住宅地の平均値はプラス0.4ケで、1990年以来、16年ぶりの上昇を記録。バブル崩壊後、続いていた地価下落が底を打ったという見方を裏付けた。都心では、今後の価格上昇をにらんで、新築マンションの「売り控え」も起きているという。都市部に限って言えば、「バスに乗り遅れるな」というの姿勢もあながち間違いとは言えないようだ。◆…けれども、と思う。初めに手に入れたマンションを買値より上で売り、今度は郊外の戸建てを手に入れ、さらにそれも売ってより都心に近い場所へ移る。わらしべ長者のようにうまく交換を繰り返していけば、最後は六本木ヒルズにまでもたどり着けるような気さえしてしまうが、実際の生活のことを考えれば 何度も引っ越しするのは現実的ではなく、そもそも面倒な話である。◆…それでも、何もしなければ家を買えなくなってしまうというジレンマ。 乗りたかろうが、乗りたくなかろうが、いずれにせよバスに乗らざるを得ない都会人は苦労の多いことだ。友人たちの話を聞いた後で、「仙台なら安いよ、角田ならもっと安いよ」と宣伝をしてみたが、「それなら自分で買えよ」とばかりに、鼻で笑われた。