2023/1/1UP


思い出の味

 すっかり日が落ちる時間が早くなりました。仕事帰りに車で移動していると、あちらこちらで美しいイルミネーションが。雪もちらつきはじめたので事故には気を付けたいところです。  角田支局に赴任して8カ月になります。赴任直前の3月に地震が発生。当初は地震関係の取材も多く、阿武隈急行の運行再開の取材も懐かしく感じます。例年と違ったのは、さまざまなイベントが再開し始めたことでしょうか。新型コロナウイルスが収束したとは言えない状況ですが、夏祭りなどのイベントを楽しめたことは幸運でした。 個人的に大きなテーマを持って取材をしているわけではなく、とにかく何かがあれば赴き、流れに身を任せてきました。しかし、振り返ると、取材してきた内容は「地域活性化」「人口減少」に大別される気がします。 角田も丸森も観光資源が豊富かと言えば、松島などのような「大手」にかなわないかもしれません。しかし、それは地元にとって当たり前すぎて気づけていないケースや、素材が良くても売り出し方が需要とマッチしていないこともありそうです。 丸森の観光関係者の話で印象的な言葉がありました。「何にもなくて真っ暗なのが都会にはない魅力。けれども地元の人は『イルミネーションして盛り上げよう』と考えることが多い。私は、何ならもっと真っ暗にしてもいいと思っている」。彼は丸森出身ではありません。それ故に感じたのかと思います。 観光で欠かせないのが食べ物。角田はコメ、マメ、ウメなどをPRしていますが、町外の人がコメ、マメ、ウメを目的に訪れる機会は限られると思います。特に若い人への訴求力を生み出すには、「この町に来たらこれを食え!」と言われる食が必要になる気がします。例えば、飲食店などに広がりつつある「ネギ彦くん」は特徴的でしょうか。地域一丸で売り出し、ブランディングやイメージ戦略によっては存在感が増すかもしれません。 また、地元の人はみんな家で食べているのに…といった食もあるかもしれません。例えば、正月のお雑煮。とても地域性が出ると聞きます。ちなみに私の両親は関西出身で、お雑煮は白味噌で丸餅を使います。ここからが特徴的で、餅はそのまま食べず、わざわざお椀から取り出してきな粉につけて食べます。奈良県の一部での風習らしいですが、まぁ、お世辞にも綺麗な見た目ではありません。しかし、個人的にはたまらない一品。妻には驚かれますが、私からすれば仙台のお雑煮が醤油味でセリやイクラが入っていることに驚きです。 まとまりのない話になってしまい申し訳ありません。とにかく、来年からは地域の魅力は何かを意識して取材したいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。 今年は本当に多くの方々にお世話になりました。そして、多くの現場にお邪魔させていただきました。この場を借りて感謝を申し上げます。それでは良いお年を迎えて下さい。