2021/9/1UP


熱意ハ冷メズ

 角田の夏は今年も暑かった。では、まちの「熱さ」はどうだったでしょうか。お盆時期の催しは新型コロナウイルスの感染再拡大や激しい雨に水を差されてしまいました。それでも市民の心意気が冷めることはなかったようです。 14日にかくだ田園ホールで予定されていた「かくだ牟宇姫夏まつり」は、前日13日に中止が決まりました。一昨年まで続いた「かくだふるさと夏まつり」を衣替えし、本来ならば昨年、ホール周辺の通りなどをメイン会場に新たなスタートを切っているはずでした。コロナの影響で開催は2年連続の見送りです。今年は感染対策で、収容人数を限定したステージイベントなどにとどめ、来年の初開催に向けたプレイベント(第0回)として開催する計画でした。本格実施ではないとはいえ、準備を進めていた実行委員会や出演者らの気持ちを考えれば中止は残念です。 しかし、ため息ばかりが広がっていたわけではありません。角田館主石川家の家紋「飛鶴紋」にちなんだ折り鶴約約7万羽(記事では約5万5000羽としましたが、後の集計で増えたそうです)は予定通り、ホールに展示されました。市民から募った手折りの鶴です。13日にあった飾り付けを取材しました。無数の鶴がナイアガラの滝のようにつるされた光景は迫力がありました。牟宇姫が伊達家から石川家に嫁いだ史実に、コロナ収束の願いが重なった折り鶴です。ステージイベントがなければ記事化をやめようかと思ったのですが、折り鶴は市民の心を一つにした意義のある取り組みと考え、写真付きで掲載しました。展示作業の中心を担った商工会青年部によると、この折り鶴を冬の催しで用いるアイデアもあるそうです。 雨のため見合わせた取材もありました。市内小坂地区にできたパパイア畑の見学会です。14、15の両日に予定されていました。東北では珍しいパパイアですが、畑の近くに住む元会社員の男性が2年前から露地栽培に挑戦し、初の収穫成功を目指しています。6月29日付朝刊みやぎ版で紹介しました。春に苗を定植し、1.5メートルほどの木になっています。酷暑の中、きっちりと世話を重ねられたのでしょう。14日に畑へ向かいました。白い花が鮮やかに咲き誇り、小さな実もあり、生育は順調のようでした。照りつける日差しの下にパパイアの木々が広がる南国風の光景を写真に収めたかったのですが、厚い雨雲が去る気配はなく、記事化も含めて今回は断念しました。 収穫は10月ごろの見込みです。東北の気候でパパイアを完熟させるのは不可能なため、熟す前の青パパイアまで育てます。野菜感覚で食べられるそうです。栽培主の方は多くの人に味わってもらう方法をいろいろと練っています。近いうちにパパイアの続報を届けられるのではないでしょうか。夏が過ぎても、市民の熱意あふれる取り組みから目が離せません。


かくだ田園ホールに展示された折り鶴

小坂地区のパパイア畑