2021/6/1UP



 街の暗さに息を飲みました。5月上旬、所用で仙台へ行き、夜に阿武隈急行で角田へ戻りました。午後9時過ぎに角田駅へ着き、支局まで商店街を歩いて帰ったのですが、どの飲食店も明かりがついていません。当時は新型コロナウイルスの感染急拡大に伴う「まん延防止等重点措置」が宮城県に適用されており、飲食店に午後9時までの時短営業が要請されていたためと思われます。休業していた店もあったかもしれません。 失礼ながら、コロナ下でなくても夜間は決して明るくにぎやかな通りではありませんが、輪を掛けて暗さと静けさが増していました。まるで街が息を殺して耐えているかのようです。最近、夜に商店街を歩く機会はありませんでした。現状を目の当たりにし、地域経済のコロナ禍を今更ながらひしひしと感じています。 1年前のあんふぃに本欄で書いた「息苦しい春」は、残念ながら今年も続きました。昨年と異なるのは、学校が休校していない点でしょうか。枝野、西根小では5月、児童による恒例の田植えが2年ぶりにありました。取材に向かうと学区の住民も集まっており、地域活動の息吹のように感じました。田植えの取材は写真が難関です。下を向いて苗を植えているので表情がなかなか撮れません。しかし、今年はみんなマスクを着用しています。顔全体を写すのは不可能なので、笑顔を狙うのは最初から諦めました。ただ、子どもたちが息を潜めて作業しているような写真にならないよう、田植えの楽しさが伝わるような写真を心掛けたつもりです。 息が詰まるような日々が続く中、ほっと一息つけるような角田のニュースを届けたいと思っています。地域の行事も、主催者が感染拡大防止に注意して実施に移しており、そうした人々の苦労や息遣いが記事から伝われば幸いです。 春の恒例行事と言えば、阿武隈川河川敷の菜の花まつり。写真を撮りに菜の花畑へ行った4月末、人が近くにいない場所でマスクを少しずらし、息を吸いました。花々が運ぶ香りは例年と変わりません。 まだまだマスクは手放せませんが、鼻がふさがれて春のかぐわしさを存分に感じられないのは残念でした。気兼ねすることなく行事や交流、街巡りに息を弾ませることができる日を待ち遠しく感じます。


西根小で行われた閉校前最後の田植え

今年の菜の花畑