2007/5/1UP


意味不明

 ◆…ごもっともなお話ばかりで、頭が下がりました。子育てを大切にしている親なら、誰もがうなずき、ぜひとも従わなければと思うようなこと。 政府の教育再生会議は近く「親学」とでもいうべきものを提言としてまとめ、連休明けにも公表するという。 私を含めた子育て中の親に向けたメッセージだそうだ。 ◆…一部報道によるとその内容は「子守歌を歌おう」「早寝早起き朝ご飯の習慣化」「子どもをたくさんほめる」 「父親もPTAに参加を」などなど。言っている中身にに文句はない。驚くのは、 そんなことを政府の諮問機関が恥ずかしげもなく国民に発信しようとしていることだ。 書店に行けば山積みになっている育児本や育児雑誌、はてはどこかの待合室に転がっている子育てパンフレットにまで、 似たような項目が書き連ねられている。目新しくもない内容を、なぜ今さらお上が、われわれ国民に下されるというのか。 その意図が全くわからない。 ◆…こんなものをありがたがる子育て世代の親はまずいない、と言い切ってしまおう。他人の子育てに口をはさみ、 偉そうな講釈を垂れて平然としていられるのは、自分の子育ては成功だったと(実際そうかはわからないが)信じ込んでいる勘違い気味の人か、 こうすればよかったと実は反省しながら、もっともらしい仮面をかぶっている人のどちらかだ。 提言にかかわった再生会議のセンセイ方は、こんな人種ではあるまいか。 ◆…児童虐待に学級崩壊、さらには意図的な給食費不払いといった問題を聞けば、なるほど「まずは親の心根をたたき直すべし」と、 思わずちゃぶ台をたたいちゃった人がいても不思議はない。それこそおフダのように紙に書き、 おでこに貼り付けておいた方がいいような親もいるのだろう。けれど、そんな人たちはそもそも「提言」などに目もくれない。 とすれば、だれもいない公園の一角で、演説をぶつようなものだ。何にも結びつかない「宣言」や「憲章」を掲げて仕事をしたような気になるのは、 いかにもお役所的な行動パターンだ。毎度のことで、さらりと聞き流せばよいのかもしれないが。 ◆…提言には「『あいさつする』『うそをつかない』など人としての基本を教える」という一節もあるとか。 言葉遣いが悪い政治家、国民に代わってマイクを向けるテレビカメラに知らん顔で通り過ぎる政治家、 果てはうそをついても平然と開き直る政治家。首相にお聞きしたい。そんなお行儀の悪い人たちが、あなたの先輩や同輩にたくさんいませんか。 どっちが先という問題ではないけれど、まずは先にそっちをやっつけてからにしてもらえませんか。