2001/07/01UP


職場体験学習

 「どうして新聞記者になりたかったのですけ」「仕事の苦労は何ですか」先日、柴田町の中学生が職場体験学習で角田市を訪れた。新聞記者の仕事ぶりを見てみたいという。職場体験を取材したことはあるけれど、自分が訪問されるなんて初めてだ。 戸惑いながら訪問を受け、うろたえながら「にわか講師」を務めた。製造業と違い、新聞社の支局なんて大がかりな機械がうなったり、社員がきびきび動いているわけじゃない。ただ薄汚れた支局の家屋でパソコンをぱちぱち鳴らしているだけ。前近代的な家内制手工業の世界だ。取材といっても表向きにできるのは、あっちこっちで世間話をしている姿が関の山。(事実とはいえ)これじゃ生徒に「新聞記者は一日中、お茶やコーヒーを飲んでました」なんて言われかねない。思案のあげく、生徒たちと向かったのは角田市議会。議会事務局の厚意もあり、一般質問を一緒に傍聴することができた。「これなら格好がつくかも」。議会日程にいささかの感謝をささげながら、当局との応酬に聞き入った。傍聴後には議会の様子を新聞社の原稿用紙に原稿として書いてもらい、添削してみる。そして質疑。 どんな風に仕事の楽しみを伝えようか、そればかりに心を砕いた。たくさんの人と出会い、それぞれの考えや行動を見聞きし、感動として伝える。対象の肩書きなんて関係ない。市井から吸収して自分も成長するんだー。そんな仕事の魅力を伝えたかった。そして、それはどんな職業でも生き方、姿勢一つで可能になることも。我ながらつたない説明だったと思おう。でも、後日届いた感想文からは、生徒たちが敏感に私の思いを受け止めてくれたことが分かった。はじめての職場体験。それは生徒たちだけでなく、訪問される側にとっても貴重で、得難い体験だった。