2020/9/1UP


見慣れたロケット

 缶コーヒーのCMに登場する宇宙人風に言えば、「この市の住人には当たり前の光景だ」でしょうか。角田市台山公園に立つH2ロケットの実物大模型のことです。商店街の背後に近未来的な物体がある景色は、初めて見る人に強烈なインパクトを与えるのですが、見慣れた地元住民にはピンと来ないようです。 同様のことを、昨年7月のあんふぃにでも書きました。「角田に長く住んでいれば見慣れたシンボルでも、市外から来てみる人にとっては印象に残るランドマークです」と強調しました。なぜ再びロケットに触れたかというと、どうやら自分も見慣れてしまったようだからです。角田に移り住んで1年5カ月。当初は支局の窓からのんびり眺めたり、カメラに収めたりしていましたが、最近はそんなこともめっきり減ってしまいました。街になじんだのならば喜ばしいことですが、記者としては常に「よそ者の目」を保って地域のニュースを掘り起こさなくてはいけません。反省し、気を引き締めなければ。 そんなことを考えていると、本年度は台山公園での宇宙関連イベント記事を書いていないことに気付きました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、5月恒例の「宇宙っこまつり」は中止となりました。9月の「はやぶさまつり」も行われません。7月5日には、小惑星の地球衝突に対して危機意識を高める「アステロイドデー」(6月30日)にちなんだインターネット講演会がスペースタワー・コスモハウスでありましたが、市長選告示の日と重なり、講演会の取材には向かえませんでした。 本年度は「宇宙のまちづくり」を掲げる市にとって好機でもあります。これも昨年7月の本欄に書いたことですが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)角田宇宙センターでH3ロケットのエンジン開発が進み、打ち上げ予定が本年度内とされています。カウントダウンムードを地域活性化につなげたいところですが、取材の機会がなかったのは残念です。せめて今後、例えばロケットがあるまちの風景をいわゆる「映える」スポットとして見直す動きがもっとあってもいいのではないでしょうか。 台山公園のH2ロケットは、高さが49メートルあります。H3ロケットは全長がH2より十数メートル長くなるようです。市長選で「公園のロケットもH3に合わせて伸ばす」「長いロケットも隣に新しく造る」などと宇宙人もびっくりの主張をする立候補者はさすがにいませんでしたが、見慣れた光景が再び輝くようなまちづくりのアイデアは聞いてみたかった気がします。


昨年5月に開かれた「宇宙っこまつり」

昨年9月の「はやぶさまつり」