2019/12/1UP


前向きな話題

 「そろそろ増えるかな」とは思っていました。いわゆる「前向きな話題」が、です。台風19号豪雨から半月が過ぎようとしていた10月下旬、角田市内のイベント再開やボランティア活動が本格化したなどの情報が少しずつ寄せられるようになりました。避難先で不便な生活を送り、浸水被害を受けた自宅をどうすればいいのかと悩みを抱える市民は今も多くいます。それでも地域が元気を取り戻していく雰囲気が、被災者の支えになる面は少なからずあると思います。「よし、前向きな話題も紙面に増やしていこう」と思っていた矢先でした。身内が亡くなったため、10月末から11月初旬まで実家に帰り、角田を離れていました。前向きな話題の皮切りとして10月26日に「夢☆宇宙米プロジェクト」の収穫作業を取材しましたが、その夜には飛行機に乗っていました。不在の間に角田をカバーしたのは、近隣の白石、亘理、大河原支局員です。大豆やイチゴの被災、赤生(あこう)ため池決壊などの記事は応援記者が書きました。頼れる存在でしたが、近隣支局も自身の管内で仕事があるため全てをフォローすることはできません。そのため、やむを得ず取材を見送った話題もあります。せっかく情報を寄せてもらったのに、と心苦しく思っていたところ、実家の葬儀で導師を務めた住職さんが語った話が胸にすっと入りました。「会えなくなった人ができると、もっとその人に良くしておけばよかったと後悔するけれど、それは裏を返せば、良き出会いだったということ」。対応できなかった取材案内を「出会い」と重ね合わせるのは無理があるかもしれませんが、心の負担は軽くなったような気がします。「次の機会があれば頑張ろう」とも思えます。豪雨の被害が大きかった地区には大勢のボランティアが入り、泥のかき出しや家財道具の搬出に力を発揮しました。住民の中には「お世話になったのに十分なお礼ができていない」と思っている方もいるかもしれません。一方でボランティアの中にも「被害が大きくて十分な力にはなれなかった」と悔やんでいる人がいると思います。こうした気持ちも出会いの裏返しと考えれば、今後へのステップになるのではないでしょうか。岩手・宮城内陸地震や東日本大震災を取材した際も、「支援への恩返し」を目標に地域再生へ取り組む住民がいましたし、「息の長い支援」をモットーに被災地へ何度も足を運ぶボランティアもおりました。出会いの広がりが、前向きな話題を多く生むことを期待しています。


宇宙米の収穫作業

裏町地区で活動するボランティア