2018/8/1UP


30年

 阿武隈急行が全線開通から30年の節目を迎えました。国鉄丸森線の存廃論議が起こった30年前、「地元の足を失ってはいけない」と住民運動が盛り上がり、第3セクターでの存続と、福島から槻木までの電化全線開通が実現しました。「なくなってから、ありがたみが分かる」は情緒的なきれい事で、親孝行もそうですが、「なくなってからでは遅い」と考えた方がよいと思います。本年度に1編成2両の車両更新が着手されますが、今後十数両の更新が必要となり、負担が問題となります。道路や橋、仙南クリーンセンターの稼働前に使っていたごみ焼却施設の解体処分も合わせ、老朽インフラの維持は大きな課題です。  阿武急に合わせて、隣の丸森町の「斎理屋敷」も開館30年を迎えました。豪商・斎藤家から譲渡を受けた後、観光地として衣替えし、丸森を代表する名所として親しまれています。  何より、平成30年。来年に天皇陛下の生前退位が予定されていますが、平成はまさに30年間の区切りになります。その平成のうちにと、オウム真理教の麻原彰晃教祖と弟子たちの死刑が執行されました。バブル崩壊前後に幕を開け、オウム事件と阪神大震災が社会に大きな傷跡を残したのが、平成の前半です。後半は災害が記憶に刻まれる年代と思います。阪神大震災も未曾有の都市型震災でしたが、東日本大震災と福島原発事故を筆頭に、地震や豪雨による大災害が毎年のように発生し、自然環境の大変化を身にしみて感じるようになりました。「失われた30年」のように感じられますが、その中で天皇陛下が果たした象徴の役割は、歴史的に大きな意味を持っています。  平成の中間点が20世紀から21世紀への変わり目で、米国同時多発テロがありました。世界が、というより欧米先進国が、とりわけイスラム過激派のテロの脅威に直面して、非寛容と分断が支配的で内向きな世界となりました。その代表がトランプ大統領ですが、萌芽の一つは米同時多発テロにあったと考えています。  30年という時間は何かが生まれ、発酵して、何らかのものになる、1サイクルの歴史的エポックだなという感慨を覚えます。  あんふぃにも30年。歴代支局の積み重ねで、角田に何らかの足跡を残せたように。これまで愛読いただいた皆様のお支えに感謝しますとともに、今後もよろしくお願い申し上げます。


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