2008/2/1UP


インセンティブ

 市町村長の報酬を、野球選手のように「年俸プラス出来高払い」にしたら面白いんじゃないかと考えている。 一年間いい仕事をしてくれたら、大幅に上乗せする。「人気取りの政策ばかりになる」とか、 「ゼニカネのために政治をやるのはおかしい」という意見があるかもしれない。だが、 大胆な改革が求められる時期にあっては、それぐらいインパクトのある仕掛けが必要ではないだろうか。 ◆…年俸については、職員の最高額を上回る程度の金額に設定する。出来高部分は、 一年ごとにその仕事ぶりを評価して、成果があがれば十分な報酬を支払う。それも、中途半端な額では意味がない。 例えば、「トップセールスで企業誘致を実現させた」「市の人口を大きく増やした」「市職員のやる気を引き出した」 「斬新な政策を実現させた」など、市民が納得できる成果が出たなら、二千万円でも三千万円でも上積みしてあげればいい。 ◆…財政難への配慮を理由に、退職金の返上や報酬カットを公約に掲げて選挙に臨む政治家は珍しくないが、 あまり好ましい方法とは思えない。それで浮く金なんてたかがしれている。納税者の一人としては、いい仕事をしてくれるなら、 見合った金を払うのは少しも惜しいとは思わない。後ろ向きの仕組みよりも、本人にも市民にもプラスになる仕組みを作った方が建設的だ。 ◆…もちろん、旧態依然の仕事をこなすだけで市民生活の向上につながるような結果がなければ、出来高払いは一切ナシ。 人口減少社会を迎え、地方景気が低迷して税収が伸びない中で、今後の市政運営がどれほど難しいことかは理解している。 だが、だからこそ、目に見える成果を求めたいのだ。政治家は自ら希望してなるものであるし、 人事から財政まで、相当の裁量が与えられているのだから、やりようによっては、このまちの可能性をもっと引き出せる。 ◆…誰がその仕事ぶりを評価をするのか。法人や市職員も含め、市民が一年ごとに「市長さんの通知表」をつければいい。 何をどう得点化するかは難しいところだが、方法はいろいろ考えられる。各種統計の数字を指標として利用できるだろうし、 「市職員の市民応対がよくなった」「誘致企業に対するサポートが充実した」といったソフト面を盛り込むのもいい。 ◆…日本の社会は政治家に対する見方が厳しいから、「政治家なんて全部ダメ」というような 反応もあるかもしれない。だが、そんな市民ばかりではないと信じよう。いい仕事をした市長なのに悪い評価をしていれば、 逆に市民の方が見切りを付けられ、職を去られてしまうことにつながる。選挙を棄権したり、市政を知ろうともせず 「市役所なんて」と根拠のない批判をしたりすることは、もう許されない。そして、人を評価するという重い作業を通じて、 市政に対する関心もぐっと高まるという効果も生まれるのではないか。つまりは市民と政治家の真剣勝負だ。 両者が真正面から向き合うことから、何かが生まれそうだ。 ◆…今夏の市長選で、こんなアイデアを公約に掲げる候補者が出てくれば、自分の一票を託してみたいと思う。